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前田一歩園財団について
Maeda Ippoen Foundation Profile

顧問挨拶



顧問(前理事長) 前田三郎

 前田一歩園財団は、昭和58年(1983年)4月に設立された財団で、国の特別天然記念物「マリモ」で有名な北海道の阿寒湖畔にあります。法律の改正により、平成24年(2012年)一般財団法人前田一歩園財団となりました。
 私たちの主な仕事は、阿寒湖周辺にある約3,900haの市街地を含む財団所有森林の美しい景観を永遠に守っていくこと、自然環境の保全と適正な利用に関する学術上の調査研究・普及啓発・人材育成に関する事業、森林の保全に関する事業、土地の貸付けに関する事業、温泉の供給に関する事業などの事業を行うことです。

 はじめに少し当財団の由来について申します。
 明治の初め、鹿児島県出身の「前田正名」(まえだまさな)という人が、若くしてフランスに渡り約8年間、欧米の文物を学びました。帰国後、新しい知識経験を駆使して国家の発展に盡しました。そして、41歳で農商務次官を最後に官を辞した後は、71歳で亡くなるまで全国各地で農工商の分野で献身的な活躍をしました。
 彼は、国から北海道阿寒湖畔一帯の広大な山林の払下げを受け、明治39年その開発に乗り出しました。そしてそのための企業体を「阿寒前田一歩園」と称しました。一歩園の「一歩」とは「万事一歩が大切」という彼の座右の銘から採ったといわれています。

 昭和9年に阿寒湖・摩周湖・屈斜路湖を含む一帯約9万haが「阿寒国立公園」に指定されました。かねてから阿寒湖畔の森と湖と火山が織り成す素晴らしい景観を後世の人々にそっくり残したいと強く願っていた正名の次男正次(しょうじ)とその妻光子(みつこ)は、そのためには前田一歩園を財団にするのが一番良い方法であるとの結論に達しました。そして多くの人々の理解と協力により難しい条件や規制を乗越え、全財産を当財団に寄付し、昭和58年4月に我が国としては珍しいユニークな財団法人が生まれたのです。

 私どもは、「われわれは自然の中で生かされているのだ」という基本的な考え方に立ち、自然の有難さ・大切さを深く感謝認識しつつ、微力ではありますが自然保護のお役に立ちたいと願っています。なお、当財団は前田家から寄付された現預金・土地・温泉源の運用収益を主な原資として、 設立趣意書及び定款に従って運用されています。


(注)
  顧問の前田三郎は令和4年8月、100歳にて永眠いたしました。